A Letter / 僕の物語
明日は、当たり前に来ない。
僕は、たくさん失敗してきました。批判もされ、会社も売り、そして癌ステージ4にもなりました。人生は、思い通りにならないことばかりです。何度も転び、何度も諦めそうになりました。それでも、こうして生きています。
医師に「ステージ4です」と告げられた瞬間、会社のことも、家族のことも、やり残したことも、頭の中を一瞬で駆け巡りました。福祉の仕事で「死」をたくさん学んできたつもりでした。でも、知識として知っている死と、自分自身の死は、まるで別物でした。抗がん剤は苦しく、正直、死んだほうが楽だと思った日もあります(笑)。
人生は、長さではなく、密度だ。
治療が終わっても、すべてが元通りになるわけではありません。今も副作用は残り、定期検査のたびに「もし再発していたら」と不安がよぎります。それでも僕には、支えがあります。仕事。犬たち。そして運動です。誰かの人生に少しでも貢献できていると思えること。何も言わずに寄り添ってくれる犬たち。汗をかき、走り、ボールを追う時間。それらが、僕を前に進ませてくれます。
病気は、僕から多くを奪いました。でも同時に、本当に大切なものを教えてくれました。人とのつながり。誰かの役に立てる喜び。何気ない日常の尊さ。そして、生きていることそのものが、奇跡だということを。──明日は、当たり前に来るものではない。だから、やりたいことは後回しにしない。困っている人がいたら、助ける。
ここまで来られたのは、たくさんの人に支えてもらったからです。だから今度は、僕が支える側でいたい。挑戦する人を、夢を追う人を、失敗しても立ち上がろうとする人を応援したい。障害があっても、病気があっても、お金がなくても、前を向こうとしている人がいる。人間だけではありません。懸命に生きようとする動物の命もあります。生きることそのものが、尊いから。
だから僕は、人も動物も、救いたい。
僕は経営者ですが、その根っこはソーシャルワーカーです。利用者様の声を聞くのは、課題を知るためだけではありません。その人の中にある力と、可能性を見つけるためです。人には本来、自分の人生を切り拓く力がある。その力を信じ、引き出し、支える。地域に必要なものがなければ、創る。それが、僕の福祉です。
現場には、障害福祉の対象にもならず、介護保険も生活保護も使えず、それでも苦しんでいる人がいます。制度を待っていては、間に合わない。だから僕は、事業という手段で救う。政治だけが社会を変えるのではありません。僕たち一人ひとりにも、社会は変えられる。それが、僕のソーシャルアクションです。
情熱と、愛と、志と、戦略。理想を現実にするには、そのすべてが要ります。だから僕は今日も、逆風を歓迎します。逆風には、うまく乗れば、飛び立てるから。一生懸命に生きようとする人や動物が、「生まれてきてよかった」と思える社会を、僕は諦めたくないのです。
藤田 英明みんなの相談員 / ソーシャルワーカー